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いわゆるインフレ税とはこういう事
『メルトダウン 金融溶解』トーマス・ウッズ
監訳・解説=副島隆彦 訳=古村治彦 序文ロン・ポール
「ノーベル経済学賞を受賞したF・A・ハイエクは、
市場ではなく、政府の作った機関である中央銀行が社会全体の富を増やすための近道を進もうとして、
結局は、好景気の期間を短くし、不景気がすぐにやってくるようにしてしまう道筋を私たちに示している。
社会全体の富を急に増やす方法など存在しない。中央政府のいかなる試みも、
経済の大不況を招く結果に終わってしまう。今まさに起こっていることがそうである。
連邦準備制度が、経済の実態とはかけ離れたレベルにまで金利を引き下げたために、
長期間にわたっては持続できないことが明らかだった産業部門(金融、不動産)に資本が流れ、
無駄に浪費される結果となった。
ハイエクは、ノーベル経済学賞受賞者のうちでも、今の私たちが耳を傾けるべき経済学者である。」
「新しく作り出された通貨を最初に受け取るのは、
政治的に優遇されている者たちである。
例えば、政府と取引がある銀行や企業がそれに当たる。
政府はそれらの銀行や企業との取引を通じて金を使う。
これらの恵まれた金の受け手は、
インフレーションによって物価が上昇する前に新しく作り出された通貨を受け取る。
そのときには、経済全体でどれくらいの通貨が新しく作り出されるか分からないので、
物価も変動しにくい。
新しく作り出された通貨が経済全体に行きわたると、物価はすべての分野で上昇するようになる。
しかし、このプロセスが進んでも、インフレーションが起きる前に金を受け取っていた恵まれた企業は、
物価上昇前の価格で原材料を購入していたので、それで利益を得る。
それはまるで、自分たちの製品の買い手たちから少しづつ収奪しているようなものだ。
一般の人々が新しく作り出された通貨を、
収入の増加分、もしくは借り入れコストの減少分の形で受け取るときには、
物価は上昇をはじめてしばらく経っており、
収入の増加分がなかったときに、高い物価のモノを購入していた。
普通の人々の手元に新しく作り出された通貨がいきつく前に、通貨の価値は減少してしまっている。」