13/01/29 08:30:12.17 uHjp7tuu0
フッ素がそうであるように、フッ化水素も極めて強い毒性を有しており、
少量で容易に致死量に達する。フッ化水素9%溶液をスプーン1杯口にする
だけで死に至ると考えられているほどである。
その原因は極めて強い透過性と骨中カルシウムイオンと結合してフッ化
カルシウムを形成する性質にある。
特にその透過性が有名で、ゴム手袋程度の防護では役に立たず、もしゴム
手袋の上に溶液を垂らしたら容易にゴムを貫通し、皮膚に到達してしまう。
さらに、一般的な実験器具の材料であるガラスさえもガラス中のケイ素と
結合しフッ化ケイ素を形成して突破してしまう。
そうして皮膚についたフッ化水素は、皮膚や筋肉をも貫通して骨中のカル
シウムと結合、フッ化カルシウムを生成してようやく反応を停止する。
このフッ化カルシウムは骨そのものより非常に脆く、従ってちょっとした
衝撃で容易に微細な結晶針となり、筋肉に刺さって地獄の痛みを加える。
また骨という連続体の一部がフッ化カルシウムに置換されるため、容易に
骨折を引き起こす。当然そこが折れるとその周囲の筋肉に結晶針がまき散
らされる。さらに量を浴びると血中のカルシウムイオンもフッ化するため
低カルシウム症による心不全を起こし死亡してしまう。
また、この反応の際には痛覚神経を刺激しないため、自覚症状が出るのは
骨がフッ化して結晶針が刺さってからということになる。
この「ちょっと垂らすだけでも骨に到達し、致命的になるまで自覚症状に
乏しい」というのが厄介なところで、実験室などでフッ化水素を扱う際に
こうした事故が起こるだけで大変な騒ぎになる。
ことに骨修復は多大な出費を伴うため、そこまでフッ素が進行した場合は
その部位ごと切断するというのが第一選択処置になる。
つまり、つま先に1滴垂れただけで死亡フラグが立ち、家に帰る頃に激痛が
走るがその頃には手遅れ。良くて足の指が消え、悪くて長時間激痛に苛ま
れた後に心停止という、非常にイヤな死に方をもたらしかねないのである。