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★ 円安でデフレを輸出する日本、問われる安倍政権の品格
これまで中国は、人民銀行が市場の人民元買いを吸収することで人為的に自国通貨を安めに誘導し
「為替操作国」と非難されてきた。中国は米国の製造業を空洞化することで「失業」を輸出している、ともいわれた。
そして今、日本が「デフレを輸出する国」「隣国の雇用を奪いデフレ脱却を図る国」として
国際社会から「イエローカード」を突き付けられている。
「為替政策」とは往々にして「為替操作」と紙一重の危うさを持つ。
特に、政権要人の口先介入で「石破ライン85~90円」とか「浜田ライン95~100円」などを
市場にあけすけに意識させる「円安政策」は、その政策の品格を問われる。
なりふりかまわず全力でデフレ脱却に動く政権の言動に対し、選挙民は半信半疑ながらも心地良い響きを感じるかもしれない。
しかし、環太平洋経済連携協定(TPP)参加は逡巡し、隣国を踏み台にしても国益を優先、となると国際的反発を誘発する。
本欄1月15日付「円90円秒読み 鍵握る米国発リスクオフ」に「世界モーターショーが開催されているデトロイトでは
日本勢の巻き返し現象が顕著だ。ドル高が続けば、米国内産業もだまってはいまい」と書いたが、
早くも自動車ビッグ3で構成する米自動車貿易政策評議会(AAPC)が、円高修正を目指す安倍政権を「近隣窮乏化策」と批判。
対抗措置を大統領に要請した。
1ドル=90円程度までは、世界も「落ち目とはいえ世界第三位の経済大国が元気になってもらわないとグローバル経済も困る」との
認識で反則切符は切られなかった。しかし、一気に95~100円誘導に突進すれば、国際ルールで「オフサイド」と認定されよう。
そもそも、国内ではデフレといわれるが、アジアの中で、日本はダントツの生活水準を維持している。
この経済的繁栄が様々な規制の上に成り立っていることは否定できない。
それらの規制を撤廃することは選挙民に痛みを背負わすので、政治家は先送りする。(続く)
日経新聞 URLリンク(www.nikkei.com)
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