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明治頃の街頭演歌「あきらめぶし」
地主金持は我儘者で、役人なんぞは威張る者。
此様浮世へ生れて来たが、我身の不運と諦める。
お前此の世に何しに来たか、税や利息を払ふ為。
此様浮世へ生れて来たが、我身の不運と諦める。
苦しからうが又辛からうが、義務は尽くさにや成らぬもの。
権利なんぞを欲しがる事は、出来ぬ者だと諦める。
假令(たとへ)姑が鬼でも蛇でも、嫁は柔順(すなお)に せにや成らぬ。
どうせ懲役するよなものと、何も言はずに諦める。
借りたお金は催促されて、貸したお金は取れぬもの。
どうせ浮世は斯様(こう)したものと、私や何時でも諦める。
米は南京、お菜(かず)はひじき、牛や馬ではあるまいし。
朝から晩まで扱き使はれて、死ぬより増しだと諦める。
どうせ此の世は弱い者虐め。貧乏泣かせだ是非も無い。
此様浮世へ生れて来たが、我身の不運と諦める。
汗を絞られ油を取られ、血を吸ひ取られた其の上に、
投り出されて踏み付けられて、これも不運と諦める。
長い者には巻れて了(しま)へ。泣く子と地頭にや勝たれない。
貧乏は不運で病気は不孝、時よ時節と諦める。
諦めなされよ、諦めなされ、諦めなさるゝが無事である。
私や自由の動物だから、諦められぬと諦める。