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日本の寺院から盗まれた文化財が、韓国の骨董業界で普通に流通していて、
そのなかには韓国で国宝になったものすらある……。
『韓国窃盗ビジネスを追え 狙われる日本の「国宝」』は韓国在住のジャーナリスト・
菅野朋子氏がこの韓国古美術界の闇に迫ったノンフィクションだ。
―長崎県の安国寺(あんこくじ)にあった「高麗版大般若経(こうらいばんだいはんにゃきょう」
(重要文化財)が盗み出されたのが1994年で、その翌年、これに酷似した経典3巻が韓国政府から国宝指定されている。
日本は調査を要請したけれど、韓国は協力しない。こんな異常なことが起きているんですね。
「盗み出されたお経のネガが文化庁にあるので、それと照合したら同一のものかわかるのですが、
韓国政府は応じないですね。古美術業界の人の間では、あれは日本から盗み出したものだ、という暗黙の了解があるようです」
―韓国の文化財被害を捜査する警察官も古美術商も、悪びれてませんね。
「高麗は918年に建国された朝鮮半島の国です。『もともとは俺たちの宝なのに、勝手に略奪されて日本に渡った。
だからいま取り戻して何が悪い』。そんな認識なんです。理屈としてはわからなくもないのですが、でも窃盗は犯罪でしょう。
それに、日本で長い間、大切に保管されてきたこともまたひとつの歴史ですからね」
―韓国に高麗仏画はほとんど残ってないそうですが、それは韓国内でずっと大事に扱われてこなかったということですもんね。
しかし、日本人の菅野さんが取材を進めるのは大変だったのでは。
「門前払いは当たり前だし、こちらに期待を持たせておいてはぐらかすとか、知らないフリをされて、
その情報が韓国人記者に渡っていたこともありました」
―取材相手から、菅野さんがどんな立場で取材しているのか問われたとき、
ちゃんと「盗み出されたものは日本に返ってくるべき」と答えていたそうですが。
「そこで『韓国に戻ってきて当然』なんて答えていたらたぶん相手にしてもらえなかったと思いますね。
日本人は本音と建前を使い分けると思われてますから、ストレートに伝えたほうが信頼されるんです」
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