13/01/03 15:26:01.53 0
>>1の続き
他方、「うどん県」の名称も板についた香川の一部の地域では、干したふぐで出汁をとるらしい。
なんとも上品な味に違いないが、そのほか香川では白味噌仕立ての汁に、まさかのあんこ餅を投入する地域も存在。
このように雑煮に甘みを足す地域はほかにもあり、本書によれば福井県や愛知県の一部の地域でも、
雑煮の上に黒砂糖をトッピングすることがあるらしい。甘い物好きなら、一度は食べてみたいかも?
地方によってこんなにも違う雑煮。それもそのはず、
雑煮は「幸をもたらしてくれる年神様を迎えるためにその年の地場の産物をお供えする」ためのものだからだ。
雑煮の誕生は室町時代だが、正月に雑煮を供するようになったのは戦国時代。
食文化圏の異なる北海道と琉球を除いた各地で雑煮祝いが定着したのは、元禄以降だという。
じつはこのころから餅のかたちや味付けに東西の差が出ていて、すまし汁文化圏が圧倒的多数派。
味噌仕立て派は白味噌の近畿、赤味噌の越前、四国の香川や徳島などで、少数派にあたるそう。
そんななかでも特異なのが、出雲地方の小豆汁仕立ての雑煮。
本書では、韓国で正月に食べられている小豆のお餅「シルトック」の影響も示唆しているが、
ほかにも滋賀県の彦根市が白味噌文化圏にもかかわらずすまし汁なのは「藩主の井伊家は遠州出身」だったからと解説。
雑煮から文化の歴史が透けて見えてくるとは、なんともおもしろいではないか。
しかし、いまは就職や結婚、転勤などの移動によって、昔の雑煮の姿が捉えにくくなっているそう。
さらに、「婚姻による変容は夫と妻の力関係によっても異なる」とある。当然のように口にしているあなたの家の雑煮も、
もしかすると家族の関係性や移動の歴史が色濃く反映されてできあがったものかも。
新年、雑煮を食べるときは、家族に話を聞き、そのルーツを辿るのも楽しいはずだ。
以上