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★天声人語
野球の攻守交代をチェンジという。その昔、耳慣れない英語を少年たちが「天地」に聞き違え、
攻守の入れ替わりを「天地交代」と称していたことがあったそうだ。
『ことばの四季報』(中公文庫)という本にあったこぼれ話に、年の瀬の政権チェンジが重なり合う
▼総選挙からこのかた、自民、民主両党の明暗は天地の一転を思わせる。
ざんばら髪の落ち武者を思わせる風情で野田内閣は総辞職し、再登板の安倍首相と自民党に国政の主役を明け渡した
▼もっとも実態は、〈「動静」はとっくに主役入れ替わり〉と朝日川柳が風刺するとおりだった。紙上の2人の動静欄のことだ。
下野が決まれば、官僚は離れ、取り巻く人は雲散して、陳情の足もぱったりと絶える。「2位ではだめ」が身に染む世界だ
▼さて新政権への大方の期待は、「まともな政治を見たい」に尽きよう。
短命首相、お粗末大臣、内輪もめ、ねじれ国会の混乱、選挙目当ての支離滅裂……。これでもかと私たちを呆(あき)れさせ、意気まで消沈させてきた
▼逆説めくが、消極的選択とされた返り咲きは、政権の強みではないか。期待値が低ければ、やるもんだね、のハードルも甘くなる。
いま思えば民主党の大敵は、政権交代の熱狂そのものだったように思われる
▼選挙では各党様々な言葉が飛び交った。だが、語られなかったことこそ真に重い課題であることぐらい、多くの人は知っている。
党と取り巻く人のためではない、国民のための「天地交代」でなくては困る。
asahi.com 2012年12月27日(木)付
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