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★小社会
牛骨をベースに唐辛子やニンニクを利かせた真っ赤なスープの中でタコやエビ、ホルモン、野菜がおいしそうに煮えている。
行きつけの酒場のメニュー「タコ鍋」は韓国釜山の庶民の味だ。
マスターは食材を仕入れに釜山に通うが、木浦市にもよく足を延ばす。この秋訪れた際に乗ったタクシーの運転手は20代半ばの好青年だった。
「日本の高知から来た」と告げると驚いたように「あの千鶴子さんの古里の?」。
むろん木浦で孤児3千人を育てた高知市出身の故・田内千鶴子さんのこと。
彼女の話で盛り上がった後、料金を払おうとしたが「『木浦の母』の古里の人にお金はもらえない」の一点張り。
仕方なく助手席に紙幣を置いて降りたら、追いかけてきて返された。
竹島問題などで日韓両国がぎくしゃくしている時だけに、タコ鍋を味わいながら聞いていて体だけでなく心まで温かくなった。
日韓ともに近く政権が変わる。それを機に未来志向の外交を仕切り直ししてもらいたい。
千鶴子さんが守った孤児施設の名前と同様、隣国とはこれからも「共生」していくことが求められる。
マスターと運転手君との付き合いは今も続いている。彼の案内で訪れる木浦の飲食店で「高知の人」と紹介されると、
まるで親戚が来たように歓待されることも多い。
クリスマスイブにそんな話を思い出すと、千鶴子さんから贈り物をもらったような温かな気持ちに包まれる。
高知新聞 2012年12月24日08時08分
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