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そして、統計上は影響が小さすぎて証明できないが、最大限に見積もれば4000人程度が
死亡するかもしれないという非常に軽微なものだった。
この4000人を含めても、原子力の発電量1TWh当たりの死亡者数はわずか0.03人である。
これは火力発電所の20人~30人と比べても、まさに1000倍は安全なのである。
幸か不幸か、福島第一原発での事故は現実のストレステストとなった。
そして、反原発運動家が言っていたような、シビアアクシデントによる原子炉の水蒸気爆発で、
死の灰が降り注ぐ、などというようなことが起こらないことが奇しくも実証されたのである。原発はストレステストに合格したのだ。
経済的負担の点でいえば、現在のような原子力発電所を止めているのは、愚の骨頂だろう。
これによる追加的な化石燃料費の日本国民の負担は年間3~4兆円にも達している。
これは日本の総生活保護費よりも多く、防衛予算に匹敵する。そして、福島第一原発では定期点検中で、
原子炉が全くの空であった4号機が水素爆発を起こしていることからも分かるように、
原発が発電を止めたからといって必ずしも安全性が高まるわけではないのだ。
まさ、金をドブに捨てているのである。それも考えられないほどの大きな金を、だ。
一部に、核廃棄物の処理の難しさを理由に原子力に反対を唱えている識者もいるが、
これも議論に値しないほど愚かな意見としか言いようがない。
原子力は、核燃料の桁外れのエネルギー密度ゆえに、廃棄物の量は極めて少ない。
驚くことに、先進国のひとりの人間が一生に使うエネルギーを全て原子力で補ったとすると、その核廃棄物の量はわずかゴルフボール1個分だ。
このように極めて少量の核廃棄物は、別の種類の原子炉の燃料にしたり、最終的には地中に埋めておけば何の問題もないのである。
よく反原発論者がいうように、そうした地中の核廃棄物を、未来の人類が掘り起こして、癌になったら大変らしいが、
いったん現代の文明が滅びた後に、生き残った人類が核廃棄物を掘り起こすというようなSFの世界の想像をふくらませる前に、
毎年百万単位で大気汚染で死んでいる現代の人々に思いを馳せた方がいいだろう。
こんな簡単な数量的な比較もできないようでは、脳みそが腐っているとしか言いようがない。