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・前回はソニーのオーディオ・ビジュアル製品のキーパーソンである、音作りの“マエストロ”として知られる金井隆氏に
デジタルオーディオをより良い音で聴くための方法を伺った。今回もよりディープにデジタルオーディオの話を伺っていきたい。
金井氏の“音へのこだわり”は生半可ではない。何しろ、「TA-DA5800ES」をはじめとするソニーのAVアンプに
用いられている「ハンダ」すら自ら組成を決めているというほどだ。
「ハンダに鉛が使えなくなって、ソニーを除く各社のアンプは全部音が悪くなってしまいました。ハンダがスズに銀・銅・
ビスマスを含むJEITA(日本工業会)の組成に変わったのですが、これが非常に結晶が悪くて音が悪かったのです。
ソニーはその組成を使わずに、1年ぐらい音のいいメーカーのを買って使っていました」(金井氏)
「さらに音質的に好ましくない微量元素、入れた方がいい微量元素は何かを調べて、最適の濃度で入れました。
例えば鉄やビスマス、アンチモンなどの金属は500ppm程度だとあまり悪さをしません。この中にゲルマニウムを0.1%
ぐらい、銅を0.7%ぐらい、音質を向上するために入れました。そうやっていろいろな組成を不純物として入れて
性能を上げています」(金井氏)
「世界中の20カ所くらいの鉱山のスズの音を聴いた中で最もいい音のものを使っていたのですが、その鉱山が
廃鉱になってしまったため、使えなくなってしまいました。そうなると困るため、微量元素を測定することで、
なぜ音がいいのかを解析したのです。こんな元素がどのくらいの割合で入っている、ではこれを入れたらどういう
音になるのか、入れて音を聴くといったことをずっとやってきました。オーディオエンジニアってそういう馬鹿なことを
やるんですよ(笑)」(金井氏)
(中略)
最近のAVアンプのトレンドとして、Wi-Fi経由で音楽を聴けるアップルの「AirPlay」対応が進んでいる。パイオニア、
ヤマハ、デノンなどがエントリーモデルにまでAirPlay対応モデルを広げてきており、iPhoneやiPadユーザーの
取り込みを狙っている。(>>2-10につづく)
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