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地デジ化の波に乗り、液晶テレビ「亀山モデル」の爆発的ヒットで2007年度に約1000億円の最高益を記録したシャープ。
だが、2012年4~9月期の連結決算では3875億円という巨大赤字を計上。
すでに同社ではボーナス50%カットを発表しており、今冬はまさに大寒波だ。
シャープの海外部門に勤める田中英彦さん(仮名・31歳・年収540万円)も、
60万円だった夏のボーナスが、この冬には30万円に半減するという。
「すべては液晶にこだわり続けたから。シャープは国内市場では高いシェアを取っていましたが、
海外ではサムスン、LGの後塵を拝していました。地デジへの移行が終わって市場が半減することは自明で、
もっと海外を攻めるべきだったのに、国内市場ばかりを優先させてしまったのです」
過去の成功体験に縛られ、無難な液晶計画を積み上げた末に訪れた未曾有の危機。その責任は?
「もともと危機感が薄く、問題意識の低い社員が多い。電子端末のガラパゴスやBIG PADも素人目に見て
『売れない』と思いましたが、マーケットのニーズより『とにかく液晶を売りたい』、それしか頭にない。責任は片山会長にあると思います。
液晶を伸ばすため会長が投資を推進した堺工場は、いまやシャープ最大のボトルネックと化してますから」
まさにお先真っ暗のなか、田中さんの5年後のビジョンは?
「英語など汎用性の高いスキルを身につけた人材になっていたいですね。
不確実性の高い今の時代、会社に入れば定年まで安泰という考えはもはや古い。
それに今、社内では『いくら頑張ってもシャープは潰れる』といった空気が漂っており、
再建しようというモチーベーションも皆無。正直、もう長くはないと思います……」
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