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11月15日、聞き慣れない名前の動物がニュース報道で話題になった。
神奈川県・江の島沖の定置網漁で“幻の深海生物”とも呼ばれる「ユウレイイカ」が生きたまま捕まり、
地元の新江ノ島水族館(藤沢市)へ運ばれたというのだ。
その胴体の長さは20cmほどだが、異様に太い8本脚と長い2本の触腕を伸ばした全長は60cmに達し、
スーパーに並ぶイカとはまるで形が違う。何しろ幻のユウレイ(幽霊)なので、一般人が知らないのは当然としても、
専門家にとってはユウレイイカの生体が海上へ現れるのは常識外の大事件だという。
海洋生態学者の辻維周(まさちか)氏(沖縄県石垣市・辻環境文化研究所長)は、
この捕獲ニュースを聞いてびっくり仰天したひとり。
「このイカは相模湾から南の水深200~600mほどの深海にすみ、ゆらゆらと幽霊のように浮遊する姿は、
特殊潜航艇を使った深海調査でなければ、まず目撃できません。私が知る限り、生きたユウレイイカの捕獲は世界初だと思います。
通常の深海魚が海面近くまで上昇すれば水圧開放で浮き袋が破裂しますが、
イカには浮き袋がないので死なずに済んだのでしょう。とはいえ、浅海へ出ることで相当なダメージを受けるのに、
わざわざ移動してきた理由がさっぱりわかりません」
その珍客中の珍客を迎えた新江ノ島水族館では、深海イカには暗黒と感じられる赤ライト照明の特別水槽で
飼育を開始。が、やはり水圧の変化で弱っていたのか翌16日には息絶えてしまう。
事態はここから意外な展開を見せ始める。なんと、同日に相模湾西部の静岡県・熱海沖でも生きたユウレイイカが揚がり、
新江ノ島水族館へ新たに持ち込まれたのだ。同館の飼育担当・北嶋円(まどか)氏が説明する。
「正確にいうと、11月20日までに相模湾沿岸では4例のユウレイイカが捕獲されています。
しかし、研究資料が非常に少ないため飼育は手探り状態で、解凍したキビナゴとオキアミ、
生きた金魚とハゼなど、いろいろエサを変えても食べてくれませんでした。
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