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自民党の安倍晋三総裁は17日、熊本市内で講演し、デフレ脱却について「やるべき公共投資をやって
建設国債を日銀に買ってもらうことで強制的にマネーが市場に出ていく」と述べ、政権に復帰した場合、
建設国債の日銀引き受けを検討する考えを示した。
安倍氏は衆院解散が決まった14日以降、大胆な金融緩和策を繰り返し訴えており、日銀の独立性を懸念する見方も出ている。
建設国債は道路や港湾など公共事業の財源に充てる国債。自民党は10年間で200兆円を防災などに投入する
国土強靱きょうじん化計画を掲げており、その財源を想定した発言とみられる。ただ、「国の借金を中央銀行が肩代わりしている」
と市場が受け止めれば、国債の信用が失われる懸念もある。
日銀は現在、市場から国債を購入し、資金を供給している。安倍氏の発言は、政府から直接、
国債を買い取る「直接引き受け」を念頭に置いた可能性もあるが、財政法は原則として日銀による国債の直接引き受けを禁じている。
国会の議決があれば可能だが、放漫財政につながる懸念から財務省などは反対しており、現実に議論されるかはわからない。
安倍氏は、来春に任期を迎える日銀総裁の後任人事にも触れ、「インフレターゲットに賛成してくれる人を選びたい」と発言。
自らが主張する2〜3%の物価目標に協調できることが条件との見方を示した。日銀が物価の安定だけでなく、
米連邦準備制度理事会(FRB)のように「雇用の維持」にも責任を持つべきだとし、日銀法改正を検討する考えを改めて強調した。
自民党の政権復帰が有力視される中、安倍氏が総選挙後の一段の金融緩和に言及した14日以降、
円相場は対ドルで2円近くも円安が進行した。この日の講演では「私が講演しただけで円安になり株価は上がり続けた。
市場は私たちの実行を望んでいる」とも述べたが、政府・民主党内からは「日銀の独立性を度外視したような発言だ」
(前原誠司経済財政担当相)との批判が出ている。
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