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>>86
リゼルグ酸ジエチルアミド―LSDという略称で広く知られる幻覚剤がある。 多くの場合、それは化学的に合成されるものだが、
じつは自然界のカビのような細菌からも製造が可能である。 中世ごろ、ヨーロッパや新大陸植民地の一部において、このカビが
大発生したことがあった。 麦角菌とよばれるそのカビは、名前がしめすとおり麦をはじめとする穀物につくため、あやまって
それを口に入れてしまう事故が多発したという。 当然のことであるが、カビつきの麦をパンにして食べれば食中毒を起こす。
死者が出るほどのいくつかの症状のうち、とくに陰惨な結果を引きおこしたのは、LSDに近い成分がもたららす幻覚症状だった。
カビの毒によって引きおこされた幻覚と恐怖は、人々に疑心暗鬼の種をまき、やがて正常な者さえも憎しみと狂気に巻きこんでいく。
そうして行き着いたさきは、信仰の名のもとに行われた拷問と虐殺だった。のちにいう魔女狩りである。