12/11/09 09:58:29.55 vEYlknKG0
政府が推進する男女共同参画社会とは、左翼系フェミニストが期待しているような、
女性労働者の地位の向上を保証する平等な社会ではなく、
むしろ、「資本家を儲けさせる為の格差社会」である。
それまで家庭の中で眠っていた女性の労働力が、労働市場に出てくれば、
労働力の供給が増えるのだから、賃金水準は下がることはあっても上がることはない。
女性労働者の待遇を今の男性労働者なみに良くするのではなく、
男性労働者の待遇を今の女性労働者なみに“悪く”することで男女格差を解消し、
同時に、国内の雇用の空洞化を阻止することが、男女共同参画社会実現の結果である。
女性の社会進出は賃金水準の切り下げを媒介としつつ、ポジティブフィードバックによって促進される。
夫の賃金が下がればそれまで専業主婦でやっていけた妻も、
家計を維持するために働きに出なければならなくなる。
より多くの専業主婦が、労働市場に出れば、賃金水準はさらに下がる。
そうなれば、さらにより多くの専業主婦が・・・というように。
1999年から施行された改正男女雇用機会均等法では、男女の均等取扱いとひきかえに、
女子保護規定が撤廃され、女性の残業・休日労働・深夜業規制がなくなった。
男女の労働者に、現在の「男性なみの厳しい労働条件」で、
かつ、現在の「女性なみの安い賃金水準」で働いてもらうことで、
男女間の格差を解消したいというのが資本家たちの“本音”である。
1989年では男性の非正規雇用労働者の時給水準は、女性の正規雇用労働者の時給水準に近かったが、
その後、下落して、女性の非正規雇用労働者の時給水準に近づきつつある。
正規雇用と非正規雇用の格差が厳然と維持される一方で、正規雇用においても、
非正規雇用においても、男女の格差は縮小(低い方に収斂)しつつある。
雇用者は社会保険・福利厚生費を削減させ、かつ雇用の硬直化を防ぐ為に非正規雇用を増やしている。
企業は、非正規の雇用を増やすことで、一人当たりの労働時間を減らそうとしているわけではなく、
企業にとって重要でない「従業員の一生の面倒を見ることを放棄」しようとしているのである。
【一橋大学大学院 社会学専攻博士 永井 俊哉】