12/10/31 21:26:26.09 eQUa3nw50
前原は、ウィスキーの水割りで、処方された一ヶ月分の薬を飲みほした。
ホテルの部屋から見えるのは、生まれ育った京都の夜景。きらめくはず
の夜景も、今はどんより曇って見える。
焼肉屋のネオンが目に止まった。少年時代、家族で出かけた焼肉屋を思
い出す。献金問題では、あの朝鮮人のおばさんにも迷惑をかけた。
少し薬が効いてきたようだ。
「とうとう父と同じになってしまったな」
呟きながら、ベッドに横になり目を閉じる。
どれくらい経っただろうか、ふと人の気配を感じ、瞼を開くとスーツ姿
の男が立っていた。
「永田…、迎えに来てくれたのか」<了>