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9月末、若者の教育プログラム策定に向けて開かれた福井県教委の検討会。70歳を間近に
控えた県内の企業経営者から厳しい声が飛んだ。
「最近の若い男性は競争心がない。決断力も女性社員の方が上だ。このままではアジア諸国との
競争に負けてしまう」。一代で海外展開する企業を築いた経営者の危機感は強かった。
「それは、競争心のある人を探して雇えば、としか…。採用の問題でしょ」と苦笑いで受け流すのは
県内の公務員1年生、滝俊也さん(22)=仮名。今風なショートレイヤーの前髪を気にしつつ
伏し目がちに話す。
「自分は主夫になりたかった。社会で人間関係を築くの面倒だし、主婦は責任もなくて楽だなあと。
女性は働きたければ働けばいいし、選択できてうらやましい」。将来結婚して、妻から仕事を辞めるよう
求められたら、応じるつもりだ。
今、インターネットの匿名掲示板には“女性のわがまま”を誇張し、揶揄(やゆ)する書き込みが並ぶ。
「女性につらい仕事を押しつけないこと。かといって雑用やらせるのもダメ。それで給与も昇進も平等にね」
「これからは働く妻を夫が支えなきゃ。あ、もちろん収入は夫が多くて当然だけど」
「男性差別だ」とのネットの声に、滝さんは「その通り」と感じる。
男女共同参画の揺り戻しにも見える風潮に、県立大の塚本利幸准教授(48)=社会学、社会調査=は
「特に今の若い男性には、鬱屈(うっくつ)した思いがある」と指摘する。「バブル崩壊後、企業は若者の
新規採用を非正規労働者に置き換えた。若者の雇用が不安定化する一方、男性が家計を支えるという
『片働きモデル』は男女の意識に根強く残っている」。社会システムが変化したのに、考え方が追いつかない
「過渡期」の摩擦と見る。
(続く)
ソース:URLリンク(www.fukuishimbun.co.jp)
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