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>>216
山中教授への一極集中投資を疑問視するのは、米ハーバード大研究員も務める東京大の森口尚史特任教授だ。「iPS研究には、化学や数学など幅広い分野の研究者の参画が欠かせない。限られた研究者に資金が集中すれば、研究の遅れを招く」
もう一つの万能細胞である「胚性幹細胞(ES細胞)」を研究する中辻憲夫・京大教授も7月の講演会で訴えた。「ES細胞でも素晴らしい成果が出ているのに研究費がなく、来年からは続けられない」
戦略の無さは結果に表れている。例えば今年7月にスペインで開かれた再生医療分野の国際学会。米国の発表件数は500件以上だったのに対し、日本からは100件余。先頭を走っていたつもりの日本が今、周回遅れのランナーになりつつある。
(この連載は、今津博文、小日向邦夫、米山粛彦が担当しました)
(2009年11月8日 読売新聞)