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■感謝されない日本の技術移転
韓国鉄鋼業は、日本からの技術導入の恩恵を、もっとも受けている。
(中略)ぼくも見学してきたが、韓国の浦項製鉄は、日本の最新鋭工場と、同じレイアウトに
なっている。単一工場での出銑能力では、日本と同じだが、人件費などの相違から、受注量が
いまや日本をしのいでいる。だから、単一の工場では世界最大の生産量ということになる。
この工場の建設にあたっての苦労話をさせたら、日本最大のこの製鉄会社の社員には、
いくらでも言い分がある。
「確かに契約として、会社として、やったことでしょう。だけど、それだけじゃないんです。
日本人は韓国に負い目を持っています。だから、このプロジェクトを成功させなけりゃ
いけないという使命感をみな持っていました。サラリーマンだって、生身の人間です。
ほんの一言でいいんです。韓国語にも、ありがとう―カムサ・ハムニダって、言葉が
あるでしょう。要は、気分の問題なんです。日帝三六年を持ち出されると、こっちとしては、
なにも言えません。うまく言えないけど、すべて終わったあとで、ぜんぶ自分たちがやった
っていう態度にでられると、こっちとしても我慢しなけりゃいけないと判っていても、
割り切れない気持ちになるんです」
友人を通して、このとき知り合った製鉄会社の同僚は、こう言ったものだ。
この類の日本人の不満は、あちこちで聞かされた。これは、直接に聞いたものではないが、
日韓共同プロジェクトとして、ソウル市の地下鉄一号線の工事は、日本の技術援助で完工した。
だが、その開通式にあたっては、日本の援助には一言も言及されなかったという。
(豊田有恒『いい加減にしろ韓国』P71-72 祥伝社)