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朝日新聞2012年9月29日(土)朝刊「声」欄より
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元慰安婦の証言こそ「証拠」
無職 竹本 和義
(広島県呉市 68)
橋下徹大阪市長が旧日本軍の慰安婦問題に関連し、
「(強制連行の)証拠があるなら出して」などと発言したことに反発する韓国人の元慰安婦らが来日し、
24日、大阪市役所を訪れて発言の撤回と謝罪を申し入れた。
橋下氏は当日は公務がなく登庁しなかったそうで、面談は実現しなかった。残念でならない。
1993年に旧日本軍の関与と強制性を認めた「河野談話」の見直しを、一部の政治家たちは求めている。
談話について、彼らは軍の強制を裏付ける明確な資料、証拠がないと批判するが、
私は明白な証拠があると思う。それは当事者の証言だ。
談話は、日本政府が調査や証言を元に導き出した見解だ。
政治家がどのような歴史観を持とうと自由だが、
河野談話を否定する発言に元慰安婦が憤慨するのは当たり前だ。
65年の日韓協定を理由に、日本は謝罪や賠償を求める韓国側の動きに「協定で解決済み」と一蹴してきた。
さらに、日本のリーダーを目指す橋下氏らに河野談話さえ覆されたら
「心からお詫(わ)びと反省の気持ちを申し上げる」との談話は虚偽だったと言われるだろう。
名誉と尊厳を守ろうとする高齢の元慰安婦にあのような対応をする限り、日本は国際社会で信頼されないだろう。