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★安倍新総裁の自民党―不安ぬぐう外交論を
自民党総裁選は、40年ぶりの決選投票をへて、安倍晋三元首相が当選を決めた。
5年前の参院選で惨敗後、首相だった安倍氏は突然、政権を投げ出した。
その引き金となった腸の難病は新薬で克服したというが、政権放り出しに対する批判は安倍氏の重い足かせだった。
それが一転、結党以来の総裁再登板を果たしたのはなぜなのか。
■「強い日本」を前面に
もともと安倍氏は本命視されていなかった。
ところが、谷垣禎一前総裁を立候補断念に追いやる形になった石原伸晃幹事長がまず失速。
決選投票では派閥会長や古参議員に嫌われている石破茂前政調会長に競り勝った。いわば消去法的な選択といっていい。
さらに領土問題で中韓との関係がきしんでいなければ、再登板はなかったかもしれない。
「強い日本」を唱える安倍氏の姿勢が、中韓の行き過ぎたふるまいにいらだつ空気と響きあったのは確かだ。
「尖閣諸島は国家意思として断固守る」として、避難港を造るなど管理の強化を訴える。
慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めた河野官房長官談話や、「植民地支配と侵略への反省とおわび」を表明した村山首相談話を見直すと主張している。首相になった場合の靖国神社参拝にも意欲を示す。
ナショナリズムにアクセルを踏み込むような主張は、一部の保守層に根強い考え方だ。
だが、総選挙後にもし安倍政権ができて、これらを実行に移すとなればどうなるか。
大きな不安を禁じえない。
隣国との緊張がより高まるのはもちろんだが、それだけではない。
前回の首相在任中を思い出してほしい。
5年前、慰安婦に対する強制性を否定した安倍氏の発言は、米下院や欧州議会による日本政府への謝罪要求決議につながった。
靖国参拝をふくめ、「歴史」に真正面から向き合わず、戦前の反省がない。政治指導者の言動が国際社会からそう見られれば、日本の信用を傷つける。
だからこそ安倍首相は河野談話の踏襲を表明し、靖国参拝を控えたのではなかったか。(>>2-5へ続く)
asahi.com 2012年9月27日(木)付
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