12/09/27 04:30:06.33 0 BE:1964348069-PLT(12066)
3年前の秋、自民党は落ち武者集団を見るようだった。
政権を明け渡し、「自民党という名が国民に嫌われている」と党名を変える動きもあった。「和魂党」やら「自由新党」やら、まじめに考えていたらしい
▼支援団体は離れ、陳情は減り、食い慣れぬ冷や飯のせいか無気力と自嘲さえ漂った。
その斜陽から、新総裁が次期首相と目される党勢の復活である。
「ある者の愚行は、他の者の財産である」と古人は言ったが、民主党の重ねる愚行(拙政)で、自民は財産(支持)を積み直した
▼とはいえ総裁に安倍晋三元首相が返り咲いたのは、どこか「なつメロ」を聴く思いがする。セピアがかった旋律だ。
当初は劣勢と見られたが、尖閣諸島や竹島から吹くナショナリズムの風に、うまく乗ったようである
▼1回目の投票で2位だった候補が決選投票で逆転したのは、1956年の石橋湛山以来になる。
その決選で敗れたのが安倍氏の祖父の岸信介だったのは因縁めく。「もはや戦後ではない」と経済白書がうたった年のことだ
▼以降の自民党は、国民に潜在する現状維持意識に根を張って長期政権を保ってきた。
人心を逸(そ)らさぬ程度に首相交代を繰り返してきたが、3年前に賞味期限が切れた
▼思えば自民は、原発を推し進め、安全神話を作り上げ、尖閣や竹島では無為を続け、国の借金を膨らませてきた。
景気よく民主党を罵倒するだけで済まないのは、よくお分かりだと思う。たまさかの上げ潮に浮かれず、責任を省みてほしい。
asahi.com 2012年9月27日(木)付
URLリンク(www.asahi.com)