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実際にアジアの国々を訪ねて話を聞くと「日本が戦ってくれたことで、我々は独立できた」と感謝し、
大東亜戦争時の日本の軍人は立派だったとまで語ります。そして時には中国の傍若無人を厳しく批判し、
中国に対峙するため、日本にもっと前面に出てほしい、そうするのがむしろアジアの大国としての責任だというのです。
東南アジア諸国との連携強化構想は、日本を長く苦しめてきた歴史問題を転換していく大きなチャンスになるはずです。
東南アジアの国々は日本に期待する一方で、東シナ海における日本の対応を固唾をのんで見守っています。
2010年9月に領海侵犯した中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した時、菅直人首相が中国の顔色をうかがって
船長らをさっさと送り返してしまったことには、失望を超えて「理解できない」という人さえいました。
当然のことですが、「なぜ日本は中国に対してこんなに弱腰なのか」という歯がゆさも抱いています。
歴史問題について日本は物言わずしても東南アジア諸国の支持を得ています。
なぜなら、彼らもまた中国の捏造や虚偽の宣伝に苦しんでいるからです。
南シナ海に中国が引いた点線に何の歴史的根拠もないことは東南アジア諸国が一番よく知っています。
ベトナムやフィリピンをまるで属国のように見下す中国に、そうする歴史的根拠が何もないことは、
当のベトナムとフィリピンが一番よく知っています。中国による歴史の捏造に苦しんでいるからこそ、
彼らは日本が中国から言いがかりをつけられているのがわかるのです。
にもかかわらず、日本がはっきりと中国に物を言わない。そのこと自体がおかしいと彼らは言います。
今年春にベトナムを訪れた時も、現地の人々には「日本は大国なのに、なぜ遠慮ばかりするのか、
なぜ過剰なまでに卑屈になるのか」と言われました。多くの日本人には実感が湧かないかもしれませんが、
彼らからすれば、日本は光り輝く技術を有する国で、どこに行っても清潔で高度に発展している素晴らしい国なのです。
彼らは中国ではなく、日本を頼りにし、誇りに思っているのです。
日本人はその自覚と自信を持ち、東南アジアの国々との連携を強めていくべきです。
※SAPIO2012年10月3・10日号