12/09/18 18:48:04.44 scXH1qhDO
>>598の続き
■6.中国は「世界の貸し工場」
中国は外貨準備高こそ204兆円と世界一だが、それ以外の純資産ではマイナス75兆円である。
それに比べて、日本は外貨準備高こそ89兆円だが、それ以外の資産がプラス473兆円もある。
この数字に、両国の国際経済における対照的な姿が現れている。
日本もかつては輸出一点張りで、膨大な外貨を貯め込んでいたが、海外からの批判を受け、
変動相場制に移行して大幅に円を切り上げ、また輸出を現地生産に切り替えていった。
変動相場制により、円が高くなって、貿易のバランスがとれ、外貨準備高が調整される。
また海外生産が増えることによって、輸出が減り、現地の雇用確保に貢献した。
海外での総資産が多いのは、こうした投資の結果である。こうしたことができるのも、
家電や自動車その他、独自の技術を持っていればこそである。
中国は日本と同じ道を歩めるのだろうか?
外貨準備高以外の純資産がマイナス75兆円というのは、
先進国からの投資を多く受け入れているからである。
実際に中国の輸出に占める外資系の割合は2008年度で55.4%もある。
中国の輸出の過半は、日本企業や欧米企業が中国に投資して、工場を作り、そこから日本や欧米に輸出しているのである。
本講座なりに形容すれば、中国は「世界の工場」というより、「世界の貸し工場」なのだ。
「貸し工場」としてやっていけるのは、人件費が安いからだ。
それも、人民元を安いレベルでドルに固定しているからで、変動相場制に移行して元が上がれば、
「貸し工場」のコストが高くなり、日系・欧米系企業はさっさと他の「貸し工場」に移ってしまうだろう。
中国が「貸し工場」を続けるには、欧米の非難を浴びつつも、元安を続け、
「外貨準備高世界一」の袋小路に留まっているしかない。
これが「世界一の金持ち国」の実像である。