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★安倍元首相―思慮に欠ける歴史発言
・自民党総裁選に向け、安倍晋三元首相がみずからの歴史観について活発に発言している。
たとえば月刊誌のインタビューで、こう語っている。
「自民党は、歴代政府の答弁や法解釈を引きずってきたが、新生・自民党では、しがらみを
捨てて再スタートを切れる」
「新生・自民党として、河野談話と村山談話に代わる新たな談話を閣議決定すべきだ」
そして、自分が首相に返り咲けば、靖国神社に「いずれかのタイミングで参拝したいと考えている」と
述べている。
自民党の一部で根強い主張である。それにしても、首相経験者、さらには首相再登板をねらう
政治家として、思慮に欠ける発言といわざるをえない。
河野談話は慰安婦問題で旧日本軍の関与について、村山談話は過去の植民地支配と侵略について
それぞれ日本政府としての謝罪を表明したものだ。
6年前、首相になる前の安倍氏は「自虐史観」に反発する議員の会の中核として、村山談話や
河野談話を批判してきた。
だが、首相になるや姿勢を一変させ、両談話の「継承」を表明した。政権を担う身として、対外宣言とも
いえる外交の基本路線を覆せなかったからだ。
安倍氏自身が靖国参拝を差し控えたこともあり、小泉政権で冷え切った中韓との関係を改善したのは
安倍氏の功績だった。
私たちは当時の社説で、そんな安倍氏の豹変を歓迎した。
それがにわかに先祖返りしたかのような主張には、驚くばかりだ。再び首相になればそれを
実行するというなら、方針転換の理由を説明してもらいたい。(>>2-10につづく)
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