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・竹島領有権をめぐり、日本が韓国に対し、ICJに共同で提訴するよう求めた。
韓国に応じる気配はなく、裁判が開かれる見通しはない。
それでも、領土問題という感情的対立に陥りやすい問題を、国際法で公平に解決しようという
呼びかけは、説得力がある。
日本政府が韓国の不法占拠に対し、自らの立場を国際社会に訴える意味合いもある。
日本は長年、韓国に配慮して提訴を控えてきたが、李大統領の竹島上陸は一線を越えるものだった。
天皇に謝罪を求める発言への反発も強い。対抗措置は当然のことだろう。
韓国側は野田首相の親書を送り返すという。不協和音を強めるだけでは出口が見えない。
野田政権は閣僚同士の対話延期も打ち出した。経済や科学技術など他分野の対話を止めれば
日本にも不利益が生じる。対抗措置と大局に立つ外交を賢く組み合わせる必要がある。
落ち着いた関係を築くには、歴史問題にももう一度向き合わざるを得ない。
李大統領は竹島上陸の理由に、慰安婦問題で進展が得られなかったことを挙げた。
日本政府は1965年の日韓協定で解決済みとの立場だが、93年の官房長官談話で旧日本軍の
関与を認め謝罪した。アジア女性基金を通じ、償い事業も行った。そうした努力自体は韓国の人たちにも
理解してもらいたい。その上で、まだ出来ることがあるのか両国で考えればいい。
残念なのは、日本側で歴史認識への疑問を呼び覚ますような言動が繰り返されることだ。
2007年には当時の安倍晋三首相が、当局が無理やり連行する「狭義の強制性」はなかったと主張。
米下院が日本に謝罪を求める決議を採択するなど、国際社会で強い批判を浴びた。
問題の本質は、尊厳を踏みにじる行為が本人の意に反して行われ、そこに国が関与していたことだ。
こうした発言はかえって日本の立場を弱める。
このところ、経済的に存在感を増す韓国に対し、日本は自信喪失気味だ。韓国にとっての日本の
位置づけも変わり、人的パイプも以前ほど太くない。
韓国次期政権も見据えて、政治、外交、民間の各層で関係を築き直す必要がある。(一部略)
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