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(>>1のつづき)
ドイツ出身の政治哲学者ハンナ・アレント(1906~75年)は、革命や全体主義を分析する
作業の中で、社会正義と弱者に対する同情、虐げられた者に対する憐れみがテロリズムの
温床になることを明らかにしている。
「徳の源泉と考えられた哀れみは、残酷さそのものよりも残酷になる能力を持っていることを
証明している」(『革命について』)
人間は悪のために戦うことはできない。歴史的に見れば、国家=法の破壊は、常に社会正義の
名の下に行われてきた。正義の暴走を許せば、人間はいくらでも愚かに卑劣になることができる。
そこを革命勢力は狙うわけだ。
アレントは「徳でさえその限度をもたねばならぬ」というシャルル・ド・モンテスキュー(1689
~1755年)の「偉大な洞察」を引用しながら、マクシミリアン・ロベスピエール(1758~94年)の
「哀れみに支えられた徳」が、フランス革命をテロに導いた経緯を説明した。
いじめの被害者に同情するのは勝手である。また、事件に義憤を覚えるのも自由だ。しかし
同情や正義といったもののいかがわしさをいささかでも自覚するのが文明社会の住人の
責任ではないか。
正義を口実に現行法を無視していいわけはない。加害者の少年は法の下に裁かれるべきであり、
少年法に問題があるなら改正を目指せばいいだけの話である。同様に、私刑を行った愚民は
厳正に処分すべきだ。これが法治国家の原則である。例外はない。(以上、一部略)