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▽裸にこだわる女性たち
おしなべて女性は、男性の鍛え上げられた筋肉が好きだ。日本選手団の活躍で盛り上がった今回のロンドン五輪でも、
多くの女性のまなざしは、人間離れした技や勝負の行方とは別に、男性アスリートの肉体に熱く注がれていた。
背中、胸、腕…と、それぞれひかれるポイントは違うが、大方は「どうしてその部位に色気を感じるのか」一家言持っている。
千葉県在住の３０代女性は「乱れた柔道着から厚い胸板が見えた時の興奮といったら…」とささやき、富山市の
女性（２６）は「競泳選手の筋肉がついた広い背中が最高」と譲らない。みんな、聞いているこちらが驚くほどの
こだわりを持って筋肉を観賞していた。
先に阿部寛が鍛えた肉体を披露して人気を集めた映画「テルマエ・ロマエ」をみても、女性の”筋肉熱”は
高まっているように思える。ある女性は「男性の割れた腹筋を見ると、それでチーズを削って食べたくなる。
食欲と同じ、どこか本能的なところにつながっている」と打ち明ける。
経済力を手にする女性は増え、自分なりに満足できる生き方を求めることもできる。他の条件における男女差が
限りなくフラットに近づく中、男女を分ける境界線はもはやその肉体に収斂（しゅうれん）されつつあるのではないか。
かつて「３Ｋ（高収入、高学歴、高身長）」といわれる条件のいい男性が女性にもてはやされた時代があった。
今や「本能」という、損得勘定を超えた部分にスポットが当たりだし、肉体の再評価につながっているのかもしれない。
紀元前９世紀ごろから始まった古代ギリシャのオリンピックは、例外はあるものの、基本的には男性のみ参加し、
全裸で行われたという。これは、当時の都市に住む男性にとって、裸が神と同じ誇るべき姿だと認識されていたからだそうだ。
そこには鍛え上げられた肉体に対する無条件の賛美や畏敬の念があったのだろう。お家芸のメンツやメダルの数よりも、
人間の裸の美しさそのものにこだわる女性たちの方が、オリンピアの精神をしっかりと受け継いでいるようだ。
（２０１２年８月２１日 共同通信社２０代女性職員）
ソース：URLﾘﾝｸ(www.47news.jp)