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翌日何の気もなく教場へはいると、黒板一杯ぐらいな大きな字で、天麩羅先生とかいてある。
おれの顔を見てみんなわあと笑った。おれは馬鹿馬鹿しいから、天麩羅を食っちゃ可笑(おか)
しいかと聞いた。すると生徒の一人(ひとり)が、しかし四杯は過ぎるぞな、もし、と云った。
四杯食おうが五杯食おうがおれの銭でおれが食うのに文句があるもんかと、さっさと講義を済
まして控所へ帰って来た。十分立って次の教場へ出ると一つ天麩羅四杯なり。但(ただ)し笑
うべからず。と黒板にかいてある。