12/08/09 00:26:23.76 +rl7xEo90
メディアでも、まるでメタンハイドレートを3・11後のエネルギーの救世主のようにもてはやす。
神話は原発安全神話だけではないのだ。これでは3・11後の日本の未来が危ない。
1990年ごろ、元通産省傘下の日本エネルギー総合工学研究所が、様々な非在来型の天然ガスの可能性を、調査研究したことがある。
私はその委員長を務めた。
その検討の中で取り上げたのがメタンハイドレートだった。
経済大国となった日本が、もう欧米追従だけでなく、国費を費やして資源価値があるか整理することとした。そして研究調査すべきと報告した。
濃集されていないものを集めるにはエネルギーが要る。
ところが日本ではその意味が理解されない。
例えば、1996年の時点でわかっているだけでも、メタンハイドレートは日本で消費される天然ガスの約96年分以上あるというのである。
これは原始埋蔵量であって、経済的に可採な資源量と違う。大事なのは「エネルギーコスト」だ。
通常のガス田のように掘削しても噴出するわけでない。先ず地層中に安定分布する固体からメタンガスを遊離しなければならない。
だが、当然、ガス化にはエネルギーが要る。EPR(エネルギー収支比)は低い。一言すれば問題にならない。
日本では最初、エネルギー総合研究所に設置された委員会(委員長石井吉徳)で1990年ころから研究調査を始められた。
その後、石油天然ガス・金属鉱物資源機構と関連する民間の探査、海洋掘削会社に引き継がれた。そして年100億円もの税が投入されるようになった。
そして2002年には、カナダのマッケンジー・デルタで永久凍土地帯の浅層を掘削、メタンハイドレート層に熱水注入してメタンガスが回収されている。
2008年に、同じく永久凍土1100mのメタンハイドレート層から、減圧法でメタンガスが連続回収された。
これを受けて、2018年頃にはメタンハイドレート事業が商業化すると言われたが、その経済性は不明のままだった。
私が委員長を務めてから、もう20年ほどが経過した。だが依然としてEPRによる科学的な経済評価は何時になるのか見当もつかない。
その反面、楽観的な話ばかりがメディアに流される。
既に利権構造化しているのであろうか、「メタンハイドレート・ムラ」が出来上がったようだ。
もう止めにして欲しいものである、税を負担しつつ幻想を追う国民が哀れである。
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