12/08/07 00:44:03.89 Wy0uM1ZV0
ずっと元気だと思っていた母親が3月のある晩、病院に運ばれた。病名は癌で末期だった
それまで独身の俺に結婚について何も言わなかった母親は余命半年って告知されて「孫の顔が見たかった」ってポツリと一度だけこぼした
金があれば大抵の幸福は手に入るけど、孫がいる幸せと言うのは子供の俺が与えてあげなければ、決して手に出来ない
今まで何もしてこなかった愚かさを後悔しつつも、強く決意した俺は恥も意地もかなぐり捨てて、少しでも見栄えが良くなるように努力して結婚相談所に行った
ともかく本気で結婚する気がある女性って相談して、最初に紹介された少し太った女に必死に尽くして頭を下げて2ヶ月で結婚した
嫁の顔を見ることが出来た母親は一応安心したような顔をしたけど、孫の顔が見たいのは解りきってたので、「なるべく早く子供が欲しい」と嫁に相談した
嫁は、母親のために子供が欲しいと言う俺の動機に眉を寄せていたけど同意してくれた
初めてセックスして一ヵ月後に、嫁が「妊娠したようだ」と言って来た
俺は喜んだが病床の母親をぬか喜びはさせたくなくて確実になるまで黙っていた
しかしすぐに嫁にお腹は目立ち始めて妊娠は確実になった
結局、余命半年と言われていた母親はその歳の12月まで生きて、ギリギリで生まれた子供の顔を見て死んだ
俺は母親に孫の顔を見せることが出来た事が誇らしかった