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★憂楽帳:石の上にも30年
「石の上にも30年ですか」。と言ったら怒られるだろうか。福岡の専業出版社「石風社」が創業30年を迎えた。
同社代表の福元満治さんが今月上梓(じょうし)した「出版屋(ほんや)の考え休むににたり」を読み、頭を垂れた。「やはりただの焼酎喰(ぐ)らいではないな」と。
行きつけの居酒屋でたまに一緒になることがあって、焼酎を飲みながら話が夜ふけに及ぶ。新聞の世界しか知らない私には、
痛烈で目が覚めるように刺激的な言葉が次々に飛び出す。自分が乱読の質なので、その読書指南は特に参考とさせていただいている。
石風社の30年は、活版からデジタルへという出版界の激動期と重なる。難局を打開し、ペシャワール会関連書をはじめ、
さまざまなテーマでキラリと光る良書を世に問うてきた「出版屋」の知恵と情熱が新著にあふれている。
福元さんは書く。デジタル化とネット通信で大量の情報の収集と蓄積が可能になっても、
「取捨選択して統一的な意味を与える『編集』という身体的でアナログな力が必要になる。逆説的だが、それがなければ思考が深まり定着することもない」と。
新聞屋の端くれもそう思いたい。【下薗和仁】
毎日新聞 2012年07月31日 西部夕刊
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