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視力が落ちてきた、耳が遠くなった、根気が続かなくなった。こうした肉体の衰えとともに、年を
とってから心配になるのが、ボケや頭脳の衰えであろう。だが平均年齢93歳の「蟹江ぎんさん」
の4姉妹は、3日おきに実家の蟹江家に集まり、“縁側談議”に花を咲かせて、互いに刺激
し合っている。これがいちばんの“脳トレ”になるという。
そんな日ごろからのトレーニングが存分に発揮される出来事が、三女・千多代さん(94才)の身
に起きた。
今年3月も終わりのこと。夕暮れ近く、そろそろ夕食の支度をと思っていたところ、茶の間にある
電話が鳴った。 「バァちゃん、オレだよ、オレ、オレ……」
受話器を取ると、いきなりそんな声が聞こえてきた。千多代さんはすぐに振り込め詐欺の電話だ
と気づいた。このときの千多代さんの対応ぶりを再現すると―
若い男:「もしもし、オレオレ、ねぇ、バァちゃん」
千多代さん:「えっ、なんだって、もう一ぺん、いってみやあ」
若い男:「だっから、オレオレ」
千多代さん:「あのな、わしのうちにはにゃあ、“オレ”っていう人はおらんよ。あんた、何をいうとる
の。あんた、名前があるだろが」
若い男:「…………」
千多代さん:「わしには孫があるけども、“オレ”というふうに育てた覚えはないよ。あんたよ、
そういうことやっとるけども、声が若いなぁ。ねぇ、いくつなの?」
若い男:「う、うーん……」
千多代さん:「あんた、誰にいわれてこういうことやっとるの。ほら、後ろに誰かおるだろ!?
それを出さんかぁ!」 (>>2-5あたりに続く)
写真:左から2番目が千多代さん
URLリンク(upjo.com)
参考動画:URLリンク(www.youtube.com)
女性セブン8月2日号:URLリンク(www.news-postseven.com)