12/07/24 11:48:25.02 0 BE:1527826267-PLT(12066)
★発信箱:教室を解放せよ=小国綾子(夕刊編集部)
大津市のいじめ事件で加害者とされる少年らの名前や顔写真がネット上にさらされた。中にはひどいデマもあったという。
少年法の精神に反するその行為に、情報拡散という形で大勢の人が加担していた。
死者を盾に正義を振りかざし、加害者をつるし上げるのは、集団いじめのようだ。
同時に迷いもある。加害者や学校への激しい怒りは私も感じるから。暴行や恐喝は立件し、少年法できちんと処罰してほしい。
加害者がさらされたサイトには、多くの人が感謝の言葉を寄せていた。「私もいじめられていました。
加害者をさらしてくれてありがとう」「私まで救われた気がしました」。ショックだった。加害者たたきを批判するのはたやすい。
けれど、それが多くの支持を集めたことに、この国のいじめの深刻さを見た思いだった。
私の元にも若者からの「死にたい」「助けて」という相談メールが今回の事件で急に増えた。いじめられた記憶のフラッシュバックのせいだ。
いじめ自殺が起こるたび、何十年も前の記憶に今なお苦しむ人がいる。いじめが心に残す傷痕はこんなにも深いのだ。
いじめ自殺が何度繰り返されても、社会は変わらない。集団にはいじめがあり、人は見て見ぬふりをし、組織は隠蔽(いんぺい)するものなのだ。
それを前提に対策を練るしかないのではないか。いじめ研究で知られる社会学者、内藤朝雄氏は「学級制度の解体」を何年も前から提唱している。
同調圧力の強い10代を同じ顔ぶれのまま一日中、狭い教室に閉じ込めて、いじめが起こらないわけない。
選択授業を増やし、教室の顔ぶれを毎時限変え、逃げ場のない閉じられた人間関係を解放する方が、
「心の教育」の成果をひたすら待つよりは、効果的だと思う。
人の心は簡単に変わらない。システムをさっさと変えた方がいい。
毎日新聞 2012年07月24日 00時41分
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