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人気お笑い芸人の母親の生活保護受給を批判する報道を機に「不正受給の
取り締まりを強化すべきだ」という声が高まっている。一方、不正をなくそうとするあまり、
行政がさまざまな理由をつけて保護を受けさせない「水際作戦」を行った結果、
保護を受けられなかった人が餓死する事件も相次いでいる。そもそも「不正受給」とは何なのか。
そして「本当に必要な人にだけ給付を」と、簡単に言い切ることはできるのか。【稲田佳代】
◇貧困から抜け出せる仕組みを
収入の多い子を持つ親が生活保護を受けている、働けるのに保護を受けている、
保護費でパチンコをしている−−。「不正受給」について、こうしたイメージを持つ人も
少なくないだろう。だが実際は、これらのどのケースも「不正」には当たらない。
収入の多い家族がいても、本人が困窮していれば、保護を受けられる。家族の扶養は、
生活保護の要件ではない。また、生活保護は憲法25条の「生存権」に基づく制度で
「無差別平等の原則」があるため、働ける年齢の人でも、困窮していれば保護を受けられる。
さらに、保護費は使い道を限定しておらず、やりくりの範囲でパチンコをしても「不正」とは言えない。
では、どういうケースが「不正」なのか。
生活保護法78条は、うそをつくなど不正な手段で保護を受けた人に対し、
自治体がその額を徴収できると定めている。10年度は約37億円が返還された。
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