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大津市で中学2年生が「いじめを苦に」自殺した事件について、神戸女学院大学名誉教授で哲学者の内田樹さんが
鋭い指摘をされている。「内田樹の研究室」という氏のブログから、要点を引用させていただく。
▼「子どもがお互いの成長を相互に支援し合うというマインドを持つことを、学校教育はもう求めていません。
むしろ子どもを競争させ、能力に応じて格付けし、高い点を取った者には報奨を、低い子には罰を与えるという
戦略を無批判に採用しています」。
▼「であれば、級友は潜在的には『敵』です。だから、子どもたちが級友たちの成熟や能力の開花を阻害するように
振る舞うのは、合理的なことです」「生産性の低いもの、採算のとれない部門の者はそれにふさわしい処罰を受けるべきだと、
政治家もビジネスマンも公言しています。そういう社会環境の中で、いじめは発生し、増殖しています」と解説する。
分かりやすいし、納得のいく説明だ。
▼もちろん、事件の究明と責任追及は不可欠だ。だが、人が人として生きるとはどういうことか、人は何のために生まれてきたのか、
という根源的な問いを抜きにしては、事件はなくならない。解決もない。
▼すべての子どもの可能性を耕し、成熟を支援するのが学校教育の根本である。その原点に戻って考え直そう。
学校に、弱肉強食という「獣の論理」がはびこるのを許してはならない。子どもは宝、未来の担い手である。
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