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★「世の中が見えていたのは橋下氏」朝日新聞大阪社会部デスクの嘆き
・最近、夕方が近づくと憂鬱が襲ってくる。原因は、大阪の「お客様オフィス」から全デスクのもとに
送られてくる、読者の電話やメールをまとめたリポート。
「朝日は橋下の宣伝機関か」「維新の会の話を垂れ流すのはいいかげんやめろ」「もう購読を辞めさせていただく」
ああ、またか、と思う。橋下氏のことを紙面で取り上げるたびにこうした反響がいくつも届くことを、もう何カ月
繰り返しているのだろう。もちろん苦情とはいえ、貴重な読者の声。正面から受け止め、今後の紙面づくりに
生かしていく大事なきっかけにしていけばよいのだ。
だが、コトはそれほど簡単ではないのである。
橋下氏をウオッチしている大阪社会部は当然のことながら、橋下氏を宣伝しようと記事を書いている
わけではない。原則は中立だし、氏の発言に危惧を感じて記事化することも多い。それでもこの反響なのだ。
さらに事態を複雑にしているのが、同じ記事に対して寄せられる真逆の反応の存在。少しでも橋下氏の
問題点を指摘すると、「なぜ橋下さんの足を引っ張るのか」「偏向報道の極み。許せない」という声が、これまた
複数寄せられるのである。
要するに、身を粉にして橋下氏のことをがんばって書けば書くほど、いずれも読者の怒りを買い
「新聞の購読をやめます」とまで言わしめてしまうのである。わざわざ電話してきて下さるのはごく
一部の読者であることを考えれば、どれだけ多くの人が無言で新聞の購読をやめているのかと想像し
背筋が寒くなる。気力が落ち込むのをどうすることもできない。
新聞が売れない時代、これがどれほど大きなことか!
いま朝日新聞では、橋下人気が国政に影響を及ぼし始めていることもあり、橋下氏に関する記事を
全国で掲載していくことを紙面の「ウリ」にしようという機運がある。大阪発の記事が東京で
掲載されるハードルの高さを思えば、大阪のデスクにとってはまことにありがたいことである。
(>>2-10につづく)
URLリンク(astand.asahi.com)