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以前、ソウルのはずれの「芸術の殿堂」近くにあった「蔚山トルコレ」という店が
クジラを食わせるのでよく通った。クジラが入ると店のおやじが電話をくれたのだが、
その店もいつのまにかなくなった。東海岸の蔚山は昔、韓国の捕鯨基地だったところ
だ。店のおやじがそこの出身で、蔚山でクジラ肉が出回ると仕入れてソウルにもって
くるのだった。この店もクジラを食わせるのに屋号はイルカという矛盾(?)があった。
以来、クジラ肉からは遠ざかっていたのだが最近、韓国の東海岸沖でクジラが増え、
しかも定置網によくかかるといって、水揚げされたクジラの姿までテレビに出ている。
クジラ好きには朗報である。何とか食えないか思っていたら先日、蔚山に出掛ける
チャンスがあったのだ。
蔚山市はW杯サッカーの開催都市の一つになっていて、その競技場建設を取材する
招待旅行で蔚山に行った。その際、クジラのことを思い出し、取材の合間にタク
シーを飛ばし往年の捕鯨基地・長生浦に出掛けた。ほぼ十年ぶりの訪問だったが、
何とうれしいことに、ぼくの記憶に残っていたクジラ専門店「ワン(王)コレ」が
そのままあったのだ。
捕鯨船の砲手出身の主人は三年前に他界し、ヨメが跡を継いでやっていた。大いに
歓迎してくれ、「ちょうどよかった」といって前日に入荷したばかりというクジラ
肉を刺身で出してくれた。そのうまかったこと。ただ捕鯨禁止下でのクジラ肉の入荷
は限られている。「次に来るまで残しておいてよ」といいつつソウルに帰ったのだった。