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東京電力福島第一原発の事故に抗議しようと、福島県二本松市のNPO職員関久雄さん(61)が、放射能に汚染された
自宅庭の土をリュックサックに背負い、東京を目指して歩いている。東電と経済産業省の職員に手渡すつもりだ。
「汚染された土を突き付け、事故の責任を明確に意識させたい」と訴えている。
「この中に含まれる放射性物質は私たちの物ではない。国と東電に返したい」
二日、宇都宮市入りした関さんは、ビニール袋に入った少量の土を手に険しい表情で語った。持ち歩いている放射線量
測定器をかざすと、毎時〇・二七マイクロシーベルトを示した。二十四時間身に付けているとすると、単純計算で、
百五十五日間で一般の人の被ばく線量限度である年間一ミリシーベルトに達する計算だ。環境省と文部科学省によると、
放射性物質を含んだ土の遺棄は放射性物質汚染対処特別措置法に触れる可能性があるが、携行を取り締まる法律はない。
関さんのNPOでは廃校を利用し、農業体験や自然との触れあいの場を子どもたちに提供してきた。事故直後、自宅前の
土や芝生の放射線量は毎時七~九マイクロシーベルトの高い値に。表土をはぎ取るなど対策を講じたが、今も〇・七マイクロ
シーベルト前後を計測し、室内でさえ〇・二~〇・三マイクロシーベルトある。
関さんは過去にも反原発運動の一環で、使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)がある青森県六ケ所村から、
高速増殖原型炉「もんじゅ」が立つ福井県敦賀市まで、複数の仲間とリレー形式で走った経験がある。汚染された
土の上で生活する苦悩を東電と国に理解させるため、庭の土を届けることにした。
六月上旬に二本松市を出発し、仕事が休みの月曜と火曜を利用して東京に向かった。前回歩いた場所までは知人の
運転する車などで歩みを進め、福島県郡山市、須賀川市、栃木県那須町と南下してきた。
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