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(>>1のつづき)
子どもが独立するまではがんばろうと思いとどまったが、今も心が揺れる。「いったん正社員の
道を外れると、苦しい生活から抜け出せない。働きたい人がちゃんと働け、生活できるのが社会の
大前提じゃないでしょうか」
なぜ、いま、最賃制度のあり方が問われているのか。背景には「日本型雇用」の大幅な変質がある。
賃金問題に詳しい小越(おごし)洋之助・国学院大名誉教授によると、正社員が中心だったかつての
日本では、最賃に直結するのは、学生のバイトや主婦のパートなど、親や夫らがいる人と考えられ、
金額の妥当性がきちんと議論されてこなかった。
それが90年代以降の不況で一変。正社員を短期契約や派遣に置き換える企業の動きが進み、
働く人の3人に1人が非正社員に代わった。一家の大黒柱や新卒者も最賃水準で働くことになり、
経済格差や消費低迷が社会問題化。最賃の底上げが求められるようになった。
小越さんは「かつては社会に波及した春闘も企業内に終始し、経営側も安値競争を強いられ、
賃金を上げる要素は最賃くらいしかなくなった」と指摘する。
こうして2007年、抜本改正された最賃法は「健康で文化的な最低限度の生計費の保障」の
観点を盛り込み、生活保護との整合性に配慮すると明記。10年には民主党政権下で「できるだけ
早期に全国最低額を800円とし、20年までに平均で千円を目指す」と労使代表らが合意した。
だが、昨年度の改定でも神奈川、北海道、宮城の3道県で最賃が生活保護の水準を下回り、
厚労省の試算だと神奈川ではあと5円不足していた。
これを正面から問うているのが今回の裁判だ。原告側は、法改正後も低い水準の最賃が放置
されたままなのは国の裁量権を逸脱していると主張。国際水準からみても低く、20年までに千円の
目標達成もおぼつかないと訴えている。これに対し、国側は違法性はないと反論している。(以上、一部略)