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■『ナヌムの家』 毎日新聞(夕刊) 1998年2月4日
<憂楽帳>
「好きでやったんだろう」「売春婦!」「うるさい、最後まで見ろ!」
先月14日、東京・中野のBOX東中野で開かれた試写会でとげとげしい、やじが飛んだ。韓国の元従軍慰安婦たちの
現在を追うドキュメンタリー「ナヌムの家・パート2」が上映されていた。やじっていたのは、客席前方に陣取っていた
中年の男性2人組だ。会場は騒然となり、収集がつかなくなった。そのとき、会場にいた元慰安婦の女性がすくっと
立ち上がって、身の上話を始めた。日本軍に連行される前からもつらい暮らしだったこと。父親は酒乱で、よそに女性が
いて母親を顧みなかったこと。たまに帰宅すると子供たちに暴力をふるったこと…。
場内は水を打ったように静まりかえった。さて、くだんの男性はというと。なんと、体をがたがたと震わせているでは
ないか。「もういい、帰るぞ」 そのひとは精いっぱいの強がりを吐いて、会場を出ていった。友人が「ちょっと感動的
でね」と教えてくれた。「ナヌムの家」(パート1、2)の劇場公開は今月14日から。【佐藤由紀】
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■毎日新聞(夕刊)1998年2月5日 <訂正>
4日憂楽帳「ナヌムの家」の記事中、BOX東中野で先月行われた試写会でとげとげしいやじがあったとあるのは、
一昨年の別の試写会での出来事でした。先月の試写会は平穏に行われました。また元従軍慰安婦の女性が身の
上を語ったとあるのは、映画の中のことでした。確認不足のため関係者にご迷惑をかけたことをおわびします。
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■映画新聞(1998年8月1日号)
ところが映画の中に「身の上」話なぞ出てこない。
訂正でさらに嘘を重ねることに。「認識不足」という次元ではないにもかかわらず、またウラも取らず、虚報に虚報を
重ねるとは報道機関としての体質を問われるところである。
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