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九州に感染者が多いウイルスHTLV1が引き起こす神経難病の脊髄症(HAM)の患者が
1990年代以降、年間推計100人ずつのペースで増加し、特に中部や関東などの大都市圏で
増えていることが、厚生労働省研究班の全国診療実態調査で分かった。長年、九州の風土病と
誤解されてきたが、人口移動に伴い感染者と患者が拡散している実態が裏付けられた。診療
態勢は九州に集中するなど地域格差があり、研究班は本年度、全国の医療者向け診療マニュアルを
作成する。
HAMはウイルスが脊髄中のリンパ球に感染して炎症を起こす厚労省指定難病。下半身まひ、
排尿・排便障害が主な症状で、進行すると寝たきりになる。
調査は全国の神経内科関連施設を対象に実施。6日に厚労省であったHTLV1対策推進協議会の
会合で、研究班長の出雲周二・鹿児島大大学院教授が結果を報告した。それによると、患者数は
3千~3600人(推計)で、90年代から毎年100人ずつ(同)が新たに発症していた。地域別患者数の
割合は、多い順から九州50・6%▽近畿15・5%▽関東15・0%▽北海道6・4%▽中部3・8%-だった。
特定できた計781人の患者の発症時期を1995年より前と以降で比べると、九州5・3ポイント、
北海道0・6ポイントそれぞれ減少。逆に中部3・9ポイント、関東3ポイント、近畿0・8ポイントそれぞれ
増えていた。統計分析による疫学調査で大都市圏での増加は判明していたが、今回の調査で確認された。
出雲教授は「九州と違い大都市圏には専門医が少ない」と指摘。診療態勢の地域間格差を是正
するため、研究班は診療マニュアルを作成し、医療関係者に配布する。会合では、HTLV1が原因の
成人T細胞白血病(ATL)に特化し初めて薬事承認された新薬が5月29日に発売されたことや、
HAM治療薬の研究開発が進んでいることなども報告された。
ソース 西日本新聞 2012年6月7日
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