12/05/29 09:41:55.71 i
(>>1のつづき)
だが、リーマンショックの影響で急増した生活困難者を支えるために、「生活保護を受けられる
基準」が実質変化したことによって、生活保護の状況は一変したという。
理屈はこうだ。
リーマンショック後、派遣切りや工場閉鎖などで失職した人が急増した。2008年末、日比谷公園
「年越し派遣村」のことを覚えている人も多いだろう。本来失業者は雇用保険の給付などで生活
しながら次の仕事を探す、というシステムになっているが、給付日数が終わるまでに次の仕事が
見つからなかったり、そもそも保険をもらえる条件を満たせない人が多かった。
20年以上働いていても、失業すれば150日しか雇用保険の給付は行われない。10年未満だと90日。
3か月でなんとかしないといけない。
もらえない場合、貯金だとか世話してくれる人がなければ、すぐに生活できなくなる。
こういう人たちが生活していくために、緊急で生活保護の基準を「働けるけど仕事が見つからなくて
お金もなくて困ってる人」もオッケーということにしたのだ。
失業者を支えるいくつかのセーフティーネットはあるが、その網目が、どれも新しい時代の失業者を
受け止めることができていない。失業者を生活保護でしか受け止められなくなっており、生活保護は
失業者のためにデザインされたものではなかったので、失業者が元の生活に戻ることを阻害して
しまっているのだ。
時給1000円、1日8時間のバイトを週5でやっても、年金やら税金を払うと生活保護のほうが
多くなったりする。役所もハローワークも、職員は大勢の失業者を受け持っていて、細かい
チェックや手厚い就労支援までは手が回らない(そもそも就労支援のデザインとかも疑問が
多いもので、職業訓練などの成果も極めて低い)。
そしてそのうち働く意欲そのものがなくなってしまう受給者が少なくないという。それは受給者への
取材の印象でもそうだし、本書中にデータでも出されいる。念のため書いておくが、多くの受給者は
働く意欲を持っていて、だけど失業中の生活をなんとかする手段が他にないので生活保護を選んだ。
だけど持っていた意欲が下がるような要素がそこにあるのだ。(以上、抜粋)