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■牧太郎の大きな声では言えないが…:求む!死体買い取り人
大正13(1924)年、東京朝日新聞に奇妙キテレツな“広告”が載った。
<死体買取人を求む 廃姓外骨>
「当年五十八歳になっても、マダ知識欲の失(う)せない古書研究者、探しているものをいちいち挙げれば、新聞全紙を埋めても足りない。
それよりか自分一身上の大問題について探しているものを申し上げる。
亡妻の墓を建てない墳墓廃止論の実行、養女廃嫡のために宮武をやめた廃姓廃家の実行、今は一人身で子孫のために計る心配はないが、
ただ自分死後の肉体をかたづけることに心配している。(中略)そこで、この死後の肉体を買い取ってくれる人を探している(後略)」
この広告を出したのは明治?昭和期のジャーナリスト、新聞研究、世相風俗研究でも知られる宮武外骨(1867?1955年)である。
墓も、姓も、家もいらない。死体を買い取ってくれる人を探している。買ってもらったその死体は、東大医学部に運べば2人の博士が待ち受けていて、
解剖して、遺骨を保存してくれる……という内容だ。
反権力の「滑稽(こっけい)新聞」を創刊した外骨のモットーは「過激にして愛嬌(あいきょう)あり」。彼らしい“最高のユーモア”と心得ていたが…
…最近、これはひとごとではない!とも思うようになった。
男の生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合)は20・14%(2010年)。東京都では1世帯当たりの平均人数が1・99人。
総人口に占める65歳以上の割合20・76%。
家族に囲まれてみとられることなく、ひとりで死ぬことは、“普通のこと”になった。
「孤独死するかと思うと、夜も眠れない」と嘆く友人もいる。「死んでからも美しくありたい、何としてでも腐乱死体になることだけは避けたい」
と願う女友達がいる。「外骨の願い」はごく普通の要求になった。(>>2-3へ続く)
毎日新聞 2012年05月08日 東京夕刊
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