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人権救済法案の提出断念 民主党反対派に配慮
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政府は4日までに、人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局に新設する
人権救済機関設置法案(人権救済法案)の今国会提出を見送る方針を固めた。
人権侵害の拡大解釈により憲法21条(表現の自由)が侵される恐れがあるだけ
に民主党内で「拙速だ」との批判が強まった。消費税増税関連法案の本格審議を控え、
党内に軋(あつ)轢(れき)を生じさせる要因をできるだけ減らしたいとの判断もある。
人権救済法案は、野田佳彦首相が昨年9月の内閣発足時に平岡秀夫法相(当時)に
重要政策課題として「新たな人権救済機関の設置」を指示。小川敏夫法相は今年2月、
「適切な人権侵害への対応ができる人権委員会を設置する必要がある。環境が整えば
提出したい」と述べ、国会提出に意欲を示していた。
民主党は先の衆院選マニフェストでも「人権救済機関の創設」を掲げており、度重なる
「マニフェスト違反」への批判をかわすため法案提出を強硬に求める声もあった。
これを受け、民主党法務部門会議は4月中に法案審査を終え、閣議決定に持ち込む構え
だったが、保守系に反対が根強い上、政務三役にも「国民的議論がなく時期尚早だ」
との声が上がり、法案は棚ざらしになった。
人権委員会は、国家行政組織法3条に基づく独立性の高い「三条機関」で、人権侵害事案で
調査や勧告、刑事告発をできる。
法務省は小泉純一郎内閣でも旧人権擁護法案の成立を目指したが、人権侵害の定義が曖昧
▽人権委員会の権限が強大で恣(し)意(い)的な運用が可能▽憲法21条を侵しかねない-などと
批判が強まり、宙づりとなった。民主党政権となり人権救済法案に衣替えして再提出を狙うが、
指摘された問題点は依然として残っており、保守派を中心に批判が根強い。