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[産経抄]
「大使館を出なければ、妻を殴り殺す」。AP通信によれば、北京の米大使館に保護されていた
盲目の人権活動家・陳光誠氏に対し中国当局者は米側を通じこう伝えたという。事実だとすれば、
暴力団や闇組織としか思えない、れっきとした「脅迫」である。
▼陳氏はその後、大使館を離れて北京市内の病院に入り家族と再会したという。米側は陳氏への
圧力を否定し「安全は保証される」としているが、まだまだ不透明だ。もし「脅迫」をバックに
米国が中国と妥協したというのなら、批判は免れないだろう。
▼ただ今回の事件では「収穫」もあった。中国の人権抑圧の実態や当局者の「粗暴」な体質が
かなりな程度明るみに出たことだ。軟禁されていた自宅から脱出し、ケガをしながらも8時間
かけ北京にたどりついた。その逃避行が間をおかず、外国メディアで生々しく報道された。
▼凄惨(せいさん)な権力抗争だった文化大革命をはじめ、この国での少数民族抑圧や言論封じ
はすべて分厚いカーテンの向こう側で行われてきた。このため特に日本では、中国を見る目が
曇らされた。いまだに経済成長に関心を奪われ、その陰湿さに向き合おうとしない人が多い。
▼しかしそのカーテンも良い意味でほころび始めた。中国にネット社会が広まり情報がもれ
やすくなった。外国メディアもアンテナを張り巡らせているからだ。実力者だった薄煕来氏の
失脚事件も、新たな権力抗争として早くから報道されている。
▼北朝鮮の「ミサイル」発射のときにも書いたが、独裁国の横暴を防ぐには、ベールを一枚、
一枚はがし監視していくしかない。中国も、そのことを世界で一流国と認められるための
試金石と考えてもらわないと困る。
URLリンク(sankei.jp.msn.com)