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１９６５年８月、沖縄を初めて訪問した佐藤首相が涙に言葉を詰まらせながら
「日本国民は沖縄の９０万の皆さんのことを片時たりとも忘れたことはない。
沖縄の祖国復帰が実現しない限り、我が国の戦後が終わっていない。」
と演説した時、ハンカチを目に当てる多くの聴取がいたという。
しかし、この演説の１ヶ月前にはベトナム戦争が激化し沖縄からＢ５２がベト
ナム爆撃に出動するという緊迫した情勢であったので、佐藤が上記の発言をす
ることには閣内で意見が続出し、官房長官ですら、
「そう発言する以上、沖縄を帰せということを米国に正面から要求する決意が
ないと総理の政治生命がなくなる」
と反対したというが、佐藤が政治生命をかけてこれを押し切った。
結局、１９７２年５月の沖縄の日本に復帰を見届けて佐藤は退陣した。
同じ総理でも、同じ沖縄問題を扱っても、
片方は政治生命をかけて米国と交渉し、片方は腹案もないのに腹案があると
いう、随分違うものだ。