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東日本大震災では発災以降、心不全をはじめ、ACS、脳卒中などの
循環器疾患が有意に増加していた。特に心不全の増加は、過去の大震災疫学調査では
報告例がなく、東日本大震災の特徴の1つであることも浮かび上がった。
東北大学循環器内科学の下川宏明氏が、3月18日まで福岡で開催されていた
第76回日本循環器学会(JCS2012)のLate Breaking Clinical Trialsセッションで発表した。
下川氏らは、宮城県で救急車で搬送されたすべての患者記録を調査し、東日本大震災の
発災前後における循環器疾患の変動を明らかにした。加えて東北大学循環器内科における
デバイス植え込み患者および冠攣縮性狭心症患者も対象に、震災の影響を検討した。
救急車搬送の調査は、2008年から2011年6月30日までを対象とした。対象地域は
宮城県全域だった。県医師会の全面的な協力が得られたこともあり、
宮城県内12消防本部すべてが協力に応じてくれたという。
調査期間中の救急車の出動件数は、合計で12万4152件だった(救急搬送例の
初診時診断率は56.2%)。この全例を対象に、心不全、ACS(急性心筋梗塞と狭心症)、
脳卒中(脳出血、脳梗塞)、心肺停止、肺炎の症例を調べた。その上で、発災前後および
同時期の過去3年間について、各疾患の発生件数を比較検討した。
下川氏らはまた、今回の震災では津波による甚大な被害を受けた沿岸部と
津波の被害を免れた内陸部では事情が大きく違うと考え、沿岸部と内陸部に分けた解析も行った。
解析ではまず、各年ごとに2月11日~3月10日と3月11日~4月7日の2期間で各疾患の
発生数を比較した。その結果、2011年だけが、3月11日~4月7日の期間の方が2月11日~3月10日の
期間より、心不全、ACS、脳卒中、心配停止、肺炎のすべてが有意に多かった。例えば心不全は、
2011年の2月11日~3月10日では123件だったが、同年3月11日~4月7日には220件と有意に増加していた(P<0.001)。
また、2008~2010年の各年の3月11日~4月7日の発生数は、それぞれ101件、100件、126件であり、
2011年の方が有意に高かった(P<0.001)。
イカソース
URLリンク(medical.nikkeibp.co.jp)