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経済産業省原子力安全・保安院が二〇〇六年、原発事故に備えた防災重点区域の拡大を検討していた原子力安全委員会
に反対意見を送り、断念に追い込んだ問題で、当時の広瀬研吉院長が同年五月、安全委員との昼食会で「なぜ寝た子を
起こすのか」と、安全委側に検討を中止するよう直接圧力をかけていたことが十六日、分かった。
昼食会に出席していた安全委の久住静代委員が証言した。原発の安全を守るはずの保安院のトップ自らが、防災対策の
強化にストップをかけたことは、保安院の機能不全をあらためて浮き彫りにした。広瀬氏は本紙の取材に「覚えていな
い。分からない」と答えた。
久住委員の証言や安全委の内部資料によると、昼食会は保安院側からの要望で〇六年五月二十四日、安全委の委員長室
で開かれた。広瀬氏と次長ら保安院の幹部数人と安全委員五人が参加した。
その場で広瀬氏は、一九九九年の茨城県東海村のJCO臨界事故を踏まえ、国や自治体の原子力防災体制が整備された
ことを強調。「防災体制ができ、国民が落ち着いてきているときに、なぜまた防災の話を始めたのか。なぜ寝た子を起
こすのか」などと強い口調で訴え、検討中止を求めたという。
それに対し、安全委側は久住委員が反論。国際原子力機関(IAEA)による国際基準見直しが進み、これに合わせ日本
でも重点区域拡大の検討を進める必要があると説明し、「やめるわけにはいかない」と拒否した。
昼食会での話し合いは平行線のまま終わったという。その後、保安院は水面下で安全委事務局と調整に入り、結局、重点
区域は拡大されなかった。
▽東京新聞(2012年3月17日 07時03分)
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
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