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・卒業式で教員が本当に君が代を歌っているか―。
大阪府立和泉高校の校長が教頭らに指示して教員の口の動きを監視させていた。
大阪府では昨年、全国で初めて君が代の起立斉唱を教職員に義務づける条例ができた。
それに基づくチェックだという。
府教委の生野照子委員長は橋下氏と校長にメールを送り、「もっと悠々たる度量でご検討を」と
口元監視をいさめた。
それでも橋下氏は「これが服務規律を徹底するマネジメント」「ここまで徹底していかなければ
なりません」と校長の姿勢を高く評価するばかりだ。
個人の歴史観で見解が分かれる君が代をめぐり、最高裁は職務命令で起立斉唱を強制することに
慎重な考慮を求めている。
1月には東京都の懲戒処分をめぐる判決で、いきすぎた制裁に歯止めをかけた。
これに対して橋下氏は、君が代の起立斉唱は、良心や歴史認識の問題ではなく、公務員として
守るべきルールであり、マネジメントのあり方だという主張を繰り返している。
しかし、そもそも卒業式で口元を監視することが優れたマネジメントといえるのだろうか。
卒業生を送り出す祝いの舞台が、校長の管理能力を試す場になっていないか。
同僚の口元を凝視させられる教頭らの気持ちはどんなものだろう。教育者より管理者の
意識ばかりを徹底させていないか。
教員のもつ能力を最大限に引き出し、良好な学びの場を生徒らに提供することが校長の
手腕であるはずだ。口元監視がそうした教育環境づくりに寄与するとはとても思えない。
今春、府立高校14校の教員17人が不起立を理由に戒告処分を受けた。研修を受け
「今後は職務命令に従う」との誓約書に署名・押印を求められた。
こうした府教委の対応は、府議会で審議中の職員基本条例案の成立を見越したものだ。
条例は、同じ職務命令に3回違反すれば免職にすると定めている。君が代で起立斉唱
しなかった教職員を想定しているとみられる。市議会でも市長が提案する方向で準備をすすめる。
組織統制を優先させる「マネジメント」が、よりよき教育を生むのか。条例を審議する議会各派は
じっくり考えて欲しい。(抜粋)
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